小さなお店や会社をサポートさせていただくと、決まって出てくる問題が「広告媒体選び」です。あなたも経験ありませんか?
「何十万円もかけて高い媒体を買ったのに、まったく売上にもその後のリピートにもならなかった…」
紙媒体を扱う通販業界では当たり前のことなのですが、紙の広告媒体は出稿料が高いからといって良い媒体というわけではないんです。これがウェブの媒体であれば、基本的にはキーワードの検索の量や競合の単価から入札形式で媒体費が決まるので、金額と質が相関関係にあります。しかし、紙は違います。紙媒体では、媒体側が「この枠は●円」と勝手に決めているだけだからです。その媒体の影響力とはほとんど関係ないんです。こういった紙媒体の選び方って、なかなか難しいですよね。
そこで今回は、そんな紙の広告媒体を選ぶときのコツを5つ、ご紹介したいと思います。媒体選びのポイントを押さえて、あなたのお店や会社に合った媒体を探してくださいね!
目次
1.媒体のセグメントを確認する
まずは広告の基本となる「セグメント」です。セグメントというのは、簡単に言うと「誰が見る媒体か」ということです。もう少し詳しくセグメントについて知りたい方は、以前の記事【今度こそっ!小さなお店のための本気のチラシ制作5つのコツ】をチェックしてみてください。
たとえば、あなたが30代の男性会社員向けの商品を扱っていたとしましょう。このときに「一気に何十万部も配布できるから、思い切って●●新聞に折込チラシを入れよう!」と考えてしまったら…。もちろん、選ぶ新聞によっては男性購読者は多いですが、男性は新聞紙面の広告(これを新聞広告といいます)を見ることはあっても、折込チラシはそこまで見ません。なので、あなたの一世一代の投資は失敗する可能性が高くなります。
本当に基本中の基本ではありますが、あなたがこれから広告費を投資しようとしている媒体が、本当にあなたの商品を必要としている層に届く媒体なのか、きちんと確認するようにしましょう。ある程度の広告費をかけられるなら、あなたのターゲットを同じ層をターゲットにした雑誌に広告を出すといいです。ただし、店舗のようなエリアビジネスの場合はタウン誌でない限り費用対効果は見合わないので、気を付けてくださいね。
2.購読率を確認する
続いてのコツは「購読率を確認する」です。新聞広告や新聞折込チラシの場合は、読者が媒体を「買って」読んでいるので、発行部数と購読数は同じと捉えてもいいです。しかし、フリーペーパーなんかは要注意。地域の住宅に投函されるものもあれば、各地に据え置くだけで積極的な配布をしないものもあります。そうなると、万単位の発行部数なのにほとんど読まれていない媒体だって山ほどあります。
購読率はなかなかデータを取ることはできませんが、認知の低い媒体を買おうとしているときは一度立ち止まって「これって、何人が見てるんだろう…」と考えてみてください。考えた結果、出してみたいと思ったらその媒体の懸賞に何人かで応募してみましょう。読んでいる人が少なければ、きっと当選します。不運にも当選してしまったら、その媒体は避けるべきです。
3.出稿企業を確認する
とはいえ、購読率の判定ってそんなに簡単にはできません。なので、オススメなのがこの3つ目のコツ。その媒体に広告を出している企業をチェックしてみて欲しいんです。基本的に売れる媒体は通販会社が押さえています。通販会社に限らず、美容や健康に関する業界はかなり広告に力を入れてきているので、それらの業界の広告が繰り返し出稿している媒体はかなり良質な媒体と思っていいでしょう。
逆に、広告の下手な業界や、広告費に無頓着な半官的な業界の広告ばかりだったら要注意!2017年現在だったら、介護業界や建築業界はまだまだ広告の上手い業界ではないので、これらが目立つ媒体は避けた方がいいでしょう。もちろん、これらの業界でも上手く広告を出している会社もあるので、厳密にはその広告を見てみないと分かりませんが、一つの指標としてチェックしておくといいですね。
4.掲載ページを確認する
仮にあなたが載せたいと思った媒体が冊子状の媒体だったとしましょう。フリーペーパーや雑誌、新聞、タブロイドなどが冊子状の媒体に当たります。これらの場合、紙面の内容がターゲットと一致するかどうかも大事ですが、どのページにどのくらいの面積で載るのかもとっても重要です。例えば、冊子を開かなくても見られる裏表紙(専門用語で「表4(ひょう よん」と言います)と、冊子の中面では反応率が大きく変わります。当然、開かなくても見られるので、表4の方が断然反応が良いんです。
また、同じ中面であっても、誰も見ないような人気のないページに広告を出すのと、人気コーナーと同じページに広告を出すのとでは大きく違います。あるいは、たとえ良質のページであったとしても、広告の面積が狭いと反応はなかなか取れません。面積が狭くても取れるのは、とにかく安くてお得な広告の場合です。そうでなければ、あなたの商品やサービスを魅力的に語るだけの面積の広告が必要となります。語るだけのスペースがなければ、その媒体は見送りましょう。
5.看板広告は基本的に避ける
ちょっと紙媒体からは逸れますが、たまに看板広告で大損する方もいるので触れておきます。あなたのビジネスが店舗ビジネスであれば「お店の前の看板」はぜひ出してください。しかし、駅やビル、バスや電車の車内などに出ている広告は買うべきではありません。あなたのお店や会社に十分な資金力があるのなら一考の余地はありますが、そうであっても私なら絶対に出稿しないでしょう。なぜなら、あなたも胸に手を当てて考えてみてください。
今までの人生で駅やビル、車内にある広告を見て商品やサービスを購入したことはどのくらいありますか?きっとほとんどないはずです。こうした広告が効くのは、病院、ネットカフェ、ホテルのように、街を歩いている人が緊急を要して必要とするサービスです。大半のビジネスには必要のない媒体でしょう。
確かに、中には看板広告によって認知を高める効果があるともいわれていますが、費用対効果は低いです。なぜなら、そもそも看板広告自体が高価だから、それに見合った効果を得ることは難しいんです。お金に余裕があって、長期的に高額の広告資金を投入できるなら、看板広告に投資して認知を高めるのもいいですが、そんなケースは稀でしょうから基本的には避けましょう。
【番外編】制作体制があればピンチ枠を買え!
さて、ここまでは結構ネガティブなコツばかりだったので、最後にポジティブなコツを1つ、ご紹介します。これは通販業界では常識なのですが、紙媒体を買うときにはできるだけ入稿日ギリギリの媒体を買うといいです。紙媒体って、決まった日に必ず発行しますよね?ということは、入稿前に広告スペースが埋まっていなかったら一大事なんです!なんとかしてその空白スペースを埋めないといけません。
そんなときには、広告枠の料金が大暴落します。ウン十万円もする媒体が数万円になったりします。このような広告枠のことを「ピンチ枠」と言います。ただし、こちら側も入稿に間に合わせて広告を制作しないといけないので、万全な広告制作体制が不可欠です。ある程度は広告を完成させておいて、ピンチ枠が出たら即入稿できるようにしましょう。そのためにも、媒体の交渉をするときに「いつでも入稿できる状態なので、ピンチ枠が出たらご連絡ください」と言っておくといいですね。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?紙媒体はなかなかクセがあるので、使いこなすのは難しいかもしれません。しかし、ターゲットと一致する媒体に質の高い広告を出すことができれば、まだまだ大きな効果も期待できます。広告費に余裕が出てきたら、ぜひ紙媒体にもチャレンジしてみてくださいね!